今日、5月25日のコスモアースコンシャス アクトという東京FMのラジオ番組の、未来のタカラモノというコーナーでスロベニアについて今週お話しさせていただいています。この日は文化の日について紹介させていただきましたが、少し詳しくここで説明できたらと思います。
2月8日はスロベニアの大詩人フランツ・プレシェーレンの命日です。この日が文化の日として祝日となっています。彼の偉業をたたえ、スロベニア中の美術館や博物館が無料で解放され、リュブリャナの中心、プレシェーレン広場では彼の詩の朗読が行われます。すごい人ですね。
みなさんは何の事だかさっぱりだと思いますが、フランツ・プレシェーレンというスロベニアでは知らない人はいない、大詩人の命日が祝日となっているのです。
プレシェーレンの功績
彼を語らずしてスロベニアの文学の発展はありえません。彼は1800年に生まれ1850年になくなった、つまり19世紀に生きた人で、彼自身の失恋、不運、オーストリア帝国の支配下で服従せざるおえなかった祖国のことをスロベニア語の詩で美しく表現した人です。
彼はオーストリアで勉強し弁護士資格を取得しましたが、法律家としてはうまくいかなかったようです。当時からスロベニア語が優秀だった彼は自分の気持ちを母国語で記したんですね。
当時スロベニアの公用語はドイツ語で、様々な看板もドイツ語と決められていました。様々な帝国に支配されていた国々は抵抗運動を起こしたり、自分たちの文化を守ろうとアクションを起こしていた時代です。スロベニアでも検閲が始まっていたそうです。
日本では11世紀に源氏物語という長編小説ができ、江戸時代には町人文化が発展していた一方でスロベニア人はずっと外国語で表現を強いられていたわけですね。
しかし彼の分野は詩。ジャーナリストとして新聞記事を書く仕事ではありませんでしたので、彼の作品は検閲外となったそう。そもそも、詩はネイティブじゃないと理解できない、しっくりこないインを踏んだり、表現がありますよね。この詩を武器に、彼はスロベニア人の心を表現しました。
彼の詩はスロベニア人に感動と自信をもたらしました。結果、スロベニアの国歌の歌詞も彼の詩が使われています。
スロベニアは例えば日本と違って、文化がすごく混ざっています。音楽をとってもどこかオーストリア風だったり、ポップスは旧ユーゴスラビアのセルビアやクロアチア風だったり。料理も大陸続きなヨーロッパの国土、支配を受けたオーストリアの影響でどこかに通ったものが多いです。行ってみればそこがスロベニアらしさですが、それでも唯一はっきりスロベニアにしかないもの、それがスロベニア語です。
スロベニア語って本当にアイデンティティーと密接に結びついているんですよね。プレシェーレンやスロベニアの歴史を通してひしひしとそれを感じています。
引き続きラジオを聞いてくれると嬉しいです!
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